クローラロボット

差動駆動を用いた受動的な環境適応機構

近年,災害時の人命救助や探査用としてロボットに注目が集まっていますが,倒壊した建物や瓦礫が散乱する場所での適応性が大きな課題の1つとなっています.そこで私たちは障害物に遭遇すると受動的にその克服を行うクローラ機構を提案してきました.この機構は遊星歯車機構が持つ差動駆動の特徴を応用することで,1つのアクチュエータの入力を2つの出力へ分配しています.平地ではベルトを回転させるためにプーリへ動力が伝わりますが,段差などの障害物に衝突し,ベルトの回転が抑制されると,クローラのフリッパー(腕部)の回転へと出力が逃げるような仕組みになっています.この2つの出力に関する最適な減速比を定めることでクローラ機構は環境に応じて自律的に移動モードを切り替え,障害物を乗り越えます.

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  1. Q. Quan, S. Ma, B. Li, and R. Liu, "Posture control of a dual-crawler-driven robot", Proc. IEEE Intl. Conf. on Robotics and Automation, pp. 2977-2982, 2009.
  2. Q. Quan, S. Ma, and R. Liu, "Posture analysis of a dual-crawler-driven robot", Proc. IEEE/ASME Intl. Conf. on Advanced Intelligent Mechantronics, pp. 365-370, 2008.
  3. G. Lan, S. Ma, K. Inoue, and Y. Hamamatsu, "Development of a novel crawler mechanism with polymorphic locomotion", Advanced Robotics, vol.21, no.3-4, pp.421-440, 2007.